カフェバッハ

10代~30代の私は、『 凄い人 』になりたかった。

『 凄い人 』になりたくて色々と勉強しては栄光を掴んだり、

そして挫折したり…その繰り返しだった。

常に目の前の事を乗り越えるのに必死で、周りを見渡す余裕なんか

なかったように感じる。

 

40代になった今、年齢と共に見る目に余裕が生まれているのが自分でもわかる。

その余裕が生まれた視点で、周りを見渡す事ができるようになり

『 凄い人 』になる事に必死で盲目になっていた自分が

『 凄い人 』を観察する事に楽しみを抱くようになっている。

 

世の中を見渡すと、こんなに『 凄い人 』が沢山生きていたんだ!と、日々発見や冒険があって、

30代までの世界と同じ世界を生きているのに、新世界に飛び込んだような感覚なのだ。

 

じゃあ、『 凄い人 』って一体どんな人なんだろう。

 

これも、人それぞれの眼鏡があって、私が凄いと思った人でも隣の人からしてみたら、

別に凄くなかったり、、、色々な観点がある。

だけど、共通していえるのは何かの分野で、突き抜けた人を『 凄い人 』と言うのかなと思う。

 

 

先日、南千住の『 カフェバッハ 』に電車を乗り継いで、汗だくになりながら行った。

理由は、コーヒー業界の『 神 』と言われる、田口護さんのお店に行きたかったのだ。

 

田口さんのコーヒーは、2000年の沖縄サミットで首相晩餐会に提供され、コーヒーが嫌いで有名な

クリントン元大統領が、美味しいからとおかわりしたり、コーヒー業界の『 Apple 』と言われて

いる、ブルーボトルの創業者ジェームス・フリーマンさんも、カフェバッハのファンの1人だと公言

している。

 

本屋に行き、コーヒー関連の書籍が置いてある棚に行けば、田口さんの本は必ずいくつか置いてある。

 

そんな『 凄い人 』のお店が、なんで銀座じゃなく『 南千住 』にあるのかというと、

南千住には、生活が苦しい労働者が多く、田口さん夫妻はそうした人達にこそ良いものを提供したい。

との思いで、コーヒーの腕を磨き最高のコーヒーを提供できるようになり、国内外に知れ渡るように

なったという。南千住で働く人達が日々、コーヒーに対して意見を言ってくれたから今の自分がいる

という事で、銀座への移転の話もあったけれど、「 ここが自分にとっての一等地 」と言って

変わらず同じ場所でお店を運営している。

 

 

私がカフェバッハに行った時、来店するお客様の層を見ていた。

確かに、田口さんと共に生きてきた方々の日常に『 カフェバッハ 』があるように感じた。

顔を洗う、歯を磨く、バッハでコーヒーを飲む。と言ったように、当たり前に田口さんと同世代

の方々がお店に続々と入って来たのだ。

 

今、流行っている若者が集うようなカフェとは違う、日本の歴史や重さを感じる光景だった。

 

お店の中は、昔ながらの喫茶店で、スタッフのキビキビした動きがとても印象的で、プロとしての

緊張感や緊迫感が感じられた。

 

それはまるで、喫茶店ではなく。コーヒーの『 道場 』のような雰囲気だった。

 

私は、バリスタがコーヒーを淹れている所をみたくカウンターの端に座り、じーーと観ていた。

そんな私に、スタッフはもう少しよく見える席に移動しますか?とバリスタの目の前に

座らせてくれたりして、気遣いも凄かった。そして、あまりにも熱心に見る私にバリスタが

色々と豆について教えてくれたりして、勉強していると、、、

 

もう、お店には立たないからいるはずのない、田口さんが私の真横に立っていたのだ。

 

どうやら2階が事務所のようで、2階から降りてきたところだったのだけれど

あまりに突然、私の真横にいたから、私はびっくりして目をまんまるに口をぽっかりと開けて

「うわっ!」とまじまじと顔を見入ってしまったのだ。

そんな私を田口さんは、どこかで会ったことが

あるような?という顔で、私の顔をまじまじと見てきて少しの間、お互いに見入っていた。

 

そして、田口さんは近くのスタッフに「あの人は、誰だっけ?」と聞いていて、

私は余計に焦り、ただのお客さんなのに…と、思いながら話しかけたくても固まってしまい

話しかけられなくてアタフタしてしまっていた。そして、急いでいたのか田口さんは

すぐに外へ出て行きおでかけになられた。

 

その後、スタッフの人に「 まさか、会えると思わなかったから焦りました 」

と言ったらにこやかに笑ってくれて、その後も優しく接客を続けてくれた。

 

画家の頃、よく芸能人のパーティーとか政治家のパーティーに招かれる事があり

有名な人を見るのは見慣れていた。

あの、デヴィ夫人と対面した時でさえ淡々と挨拶していたり、

美川憲一さんと、普通にご飯を食べたりする機会があったり、、、

 

とにかく、誰と会ってもパニックになる事はなかった。

 

そんな私が、有名な人に会ってパニックになって焦って

写真すら撮れなかったのは、今回の田口護さんが初めてだった。

 

人って本当に心から尊敬している人に出会った時、動けなくなって

固まるんだという事を体験した出来事だった。

 

そんなカフェバッハに行った時は、是非飲んで欲しいのはクリントン元大統領がおかわりをした

『バッハブレンド』と、トルコ式のコーヒー『ターキッシュコーヒー』は必ず飲んでみて

欲しい。私は、この2杯に加えて他のカフェなどでは置かれていない『中国 雲南』のコーヒー

も頂いた。予定では、田口さんの奥さんが担当しているケーキなども頂きたかったの

だけれど、3杯もコーヒーを飲んだからお腹いっぱいになり、ケーキは次回へ持ち越した。

 

肝心な味はというと、、、まあ、飲んでみてください(^^)

 

今日のコラム、長いですよね?笑

そのくらい、大興奮した話だったのです。

 

では、今週もワクワクする週にしていこうね。(^^)